認知症は病気か、それとも変化や反応か
(第1回)
- 認知症
介護の現場で避けて通れない問題のひとつに認知症があります。
認知症についてはすでに多くの研究がなされ、多くの識者も語っているにもかかわらず、“よくワカラナイ”との声を、しばしば耳にします。
たとえば医学・医療の立場では「認知症は、脳の病気のひとつである」との認識があります。
一方、介護の世界からは、
「認知症を脳の病気とする見方には違和感がある。お年寄りにみられる認知症は、老いをめぐる人間の変化・人間的反応ととらえるべきではないか。脳の病変と症状発現は個別差があり、必ずしも一対一の対応をしていない。脳の病気と断定してしまうのは危険。人間のような呆けかたをするのは他の動物にはない」
とする意見(三好春樹氏など)があります。
これは円柱を上から見れば円に見え、横からみれば長方形に見えるという角度の問題だろうと氏も語っていますが、それでもなお相容れない解釈が、現場に漂っている気がします。現場とは、たとえば医療と介護の現場であり、医療と看護の現場であり、介護と看護の現場です。
ともあれ、介護・看護・医療が混在している施設であれば、認知症に対する一定の見解は、ないよりあったほうが望ましいでしょう。
それを軸にカンファレンスが行われ、個々の対応策が検討されるからです。