動物にみられる認知症
(第2回)
- 認知症
イヌの高齢化に伴い、イヌにも認知症があることがわかってきました。
認知症(痴呆)の症状には様々なものがありますが、すべてが一気に現れるのではなく、個々の症状が1つ、2つとゆっくり現れます。おもな症状としては、ぼんやりすることが増える、飼い主の呼びかけに反応しない、昼夜が逆転した生活になる、食欲旺盛でよく眠り下痢もしないのに痩せる、トイレを失敗する、徘徊、夜中に変な(あるいは単調な)声で鳴き続ける、前に歩くが後ろに下がれない、狭いところや部屋の隅から出られない、円を描くように歩く(旋回運動)、などが見られます。
(出典:犬の認知症(痴呆/認知機能障害/認知障害症候群) 犬の病気事典)
イヌの場合、認知症の症状は平均すると11歳頃(早くて7〜8歳頃)から現れはじめるといわれ、犬種では柴犬や日本犬系の雑種がなりやすい傾向があります。
三好氏は「人間のような呆けかたをするのは他の動物にはない」と語っていました。
「人間のような呆けかた」とした表現を、「人間に本来備わっている見当識や、前頭葉機能を含めた呆けかた」と読み替えれば、氏の主張は上記の説明文と矛盾しません。
飼い主の呼びかけに反応しない、狭いところや部屋の隅から出られないといったイヌの異常行動は、後天的に獲得した記憶力や記銘力の低下をうかがわせる症状との見方が妥当です。人間らしい呆けかたの本体を、わたしたちはどこに求めればよいのでしょう。