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浜辺の診療室から

福寿
100歳を超えた死は、お祝いに値する

  • 生をめぐる雑文

天寿を全うするということばがあります。

解釈は諸説あるようですが、

平均寿命を越えて永眠されたのであれば、

天寿を全うされたと表現してよいのではないでしょうか。

 

先日のこと、施設で永眠された方のご遺族から

施設に宛てられたダンボールが届きました。

受け取ったスタッフによりますと、

「おめでたいことなので皆さまで是非」

とするメッセージが添えられていたとのことでした。

 

ダンボールのなかには小箱がたくさん入っていたようで、

診療所にも小箱が届きました。

熨斗(のし)紙が巻かれた箱の中央には「寿福」のふた文字が、

また下にはお名前と、102歳の印字がありました。

小箱には、ずっしりとした

紅と白のお饅頭が入っていました。

 

 

施設では、看取る行為に力を注いでいます。

最期は痛まず、苦しまず、

静かに、眠るようにお亡くなりになられますよう……。

そのために介護・看護・医療スタッフは何をすればよいかについて、

普段から考えて行動するトレーニングを積んできました。

ご遺族からのメッセージやお便りは、

わたしたちの行為すべてに対する通信簿だと思っています。

 

 

さて、横浜市港南区にある曹洞宗貞昌院のブログに、以下の記載がありました。

 上永谷では、概ね80歳を越えた方の葬儀では祭壇にお赤飯や紅白餅が並びます。

 故人が天寿をまっとうしたということへの感謝の気持ちと、

 お祝いの意味を込めての風習といえます。

 今日は、100歳を迎える方の葬儀をつとめさせていただきました。

 祭壇には、やはりたくさんの紅白饅頭が飾られ、

 近親の方が炊き出された赤飯が振舞われました。

 最近は、新興住宅化の進展や葬儀社任せの画一的な葬儀の普及によって、

 だんだんと地元の伝統的な風習が失われつつあるのが少し残念です。

 このようなよい風習は是非伝えていきたいものです。

 

わたしたちの住む地域にも残されている、よき風習が

これからも末永く受け継がれますよう、祈ります。

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