最期の時間
(『いつもと違う高齢者をみたら』から)
- 生をめぐる雑文
鮨屋でお寿司を食べたいという人
もう一度森の空気を吸いたいという人
働いていた町を最後にひとめ見たいという人
晴れた海を見てみたいという人……
終末期であってもそうでなくとも
願いや希望が
ふと口からもれるときがあります
数値を見せて
「願いを叶えることはとても困難です」と
ご本人や家族に伝え
納得していただく行為は
たやすいことです。
けれども
究極の願いや希望をねじ伏せてまで
納得していただく意味が
どれほどあるのでしょう
納得していただくならむしろ
願いや希望を叶える途上の急変や
死のリスクを承知していただき
最期はみんなでバックアップする体制を確認してご納得いただいたほうが
よほど人間らしいと思えるのです――
久方ぶりに、本を出すことになりました。
『いつもと違う高齢者をみたら』(医歯薬出版)という本です。
介護・看護スタッフに向けた専門書で、
上の文が結びになります。
チェック作業も最終段階に入り、
二度目の校正を済ませると、すべての作業が終わることになります。
発刊は2016年秋が予定されています。
微力ながら、少しでも高齢社会のお役に立てれば幸甚です。
《フォト ライブラリー》