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浜辺の診療室から

貧しくても幸せだった時代
便利になった現代は……?

  • 生をめぐる雑文

むかしはよかったなどというと、

年輩者はこれだから困ると、若い人たちから非難されそうです。

昭和を懐かしむ番組をBS放送で見たことがありますが、そんなとき

それでもむかしはよかったとの思いが湧いてきます。

むかしのすべてを賛美しているのではありません。

なにより昭和には、あの忌まわしい戦争がありました。

 

最近のニュースではポケモン報道があり、

原発や豊洲市場の報道が毎日のように流れます。

お金や時間は有限なはずなのに、

結局捨てることになるらしい何億円や何兆円の話がしばしば出てきます。

 

 

高度成長以降に広がってきた「現代のあり方」が理解できないまま、

立ちすくんでいます。

同様に、他人ごととはいえ

ポケモンなどゲームに費やされる時間について、

つい考えてしまうこともあります。

そういえばジャック・アタリは、

名著『21世紀の歴史』のなかで、

市場の時代に対処するために肥大する二大産業に保険と娯楽を挙げ、

情報・ゲーム・娯楽の台頭を、たしかに予言していました。

 

先日、となり町の熱海に行ったとき、

小さな書店で『伊豆半島の昭和』という写真集を見つけました。

今年の8月に発刊された厚さ3センチもある重たい本です。

その写真集には、海水浴場に立つ日に焼けた学童がおり、

トラックが停車している路地にいくつもの商店が並び、

さざえのつぼ焼き屋があり、射的屋があり、

川のなかには牛を引く人の姿があり……。

坊主頭とおかっぱ髪で占められた学童たちは、

天真爛漫でいかにも健康そうです。

 

 

お金はなかったが、自由になる時間をたくさん持っていた人たちは、

何を必要とし、何を楽しんでいたのか。

便利になって、楽しむおもちゃや材料は増えたのに、

わたしたちは日々を楽しんでいるだろうか。

そう思いながら、

天高く馬肥ゆる秋の空を眺めています。

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