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浜辺の診療室から

老い…… いなくなる“しおどき”
(老いをめぐる現代の課題 第4回) 

  • 老いるということ

ときにわたしたちは老いを考え、

生命体の謎を“科学”して細胞をいじったり、

すべての遺伝子を解読して

死や老衰とは何かを考えたりします。

 

けれどもタマネギの皮むきのように、

原因を突き詰めていったつもりが、

作業が終わったら、

そこには何もなかったという事象によく出会います。

……ん? それで?

老いとか生命体って、結局なんなんだと頭を抱えちゃうんだよな――

遺伝子エリアを研究している人が、そう言っていました。

 

 

 

藤村俊二さんが82歳で亡くなられました。

そのお知らせをニュースで知り、

ご子息のお話を聞きながら、

すばらしい最期だなあと感じました。

 

最期のときに親子で交わされたことば。

それは夜、ご子息が病院から帰る場で、

次のようだったと報道されています。

 

  親父でいてくれて、ありがとう。

  息子でいられて幸せでした。

 

ご子息のことばに、藤村さんが応えました。

  オレもだ。

 

密葬の会葬礼状に使われたのは、

藤村さんが生前に残した

「塩どき」というメッセージ。

厚手の絵手紙のようにみえる紙に

淡いブルーのインクで記されていました。

 

          “塩どき”

          このまゝ 此処に居ては 

          格好悪くなると 

          思った時に

          其処から

          居なくなる時   (原文ママ) 

 

胸に沁みました。

目次

生をめぐる雑文

心療内科

新型コロナウイルス感染症

老いるということ

働き方(労働衛生)

認知症

高齢者の終末期

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