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浜辺の診療室から

インフルエンザ・パラドックス
(悩ましいウイルス 第1回)
2020年3月  

  • 新型コロナウイルス感染症

2019年から2020年にかけての冬は、

インフルエンザの大流行が起きませんでした。

新型コロナウイルスのニュースが流れるようになり、

これまでの冬よりマスク着用者が増え、

念入りな手洗いをした結果、流行が抑えられた。

予防対策の徹底が、インフルエンザ流行に歯止めをかけた。

そうした意見を、先日耳にしました。

……本当にそうでしょうか?

 

徹底した予防対策がインフルエンザ流行を抑えたのであるなら、

新型コロナの流行も抑えられたはずです。

まさにインフルエンザ・パラドックスとも呼びたくなる現象です。

ただしそう結論づけるには、少なくとも2つの条件が必要でしょう。

まずインフルエンザと新型コロナとでは、伝播スタイルが同じであること。

次にウイルスとしての発育特性が、インフルエンザと新型コロナとで差がないこと。

 

インフルエンザウイルスの伝播スタイルは、飛沫感染と接触感染です。

新型コロナウイルスの典型的伝播スタイルは、

飛沫感染と接触感染のほかに、

いわゆるエアロゾル感染が無視できないとの指摘があります。

「クラスター」が流行を拡大している事実は、

2つのウイルスで伝播スタイルに差がある可能性を示唆しています。

 

新型コロナウイルスの発育様式は厄介であるとのレポートも出てきました。

ウイルスが生き延びるには標的細胞への「吸着と侵入」、

そして「複製(増殖)と放出」といった発育様式が必要です。

新型コロナウイルスの場合、他のウイルスと比べて

細胞への吸着・侵入ルートがバラエティに富み、

加えて長い遺伝子構造特性から、

複製にはコピーミスが起きやすい、つまり変異しやすい特性があるようです。

これまでの経験や叡智が追いつかないウイルス――それが率直な印象です。

自然に収束していくのか、それとも手がつけられなくなるのか。

 

 

2020年3月後半の三連休。

海沿いの国道は混雑し、

さまざまなナンバーの車であふれていました。

この先、爆発的な感染拡大(オーバーシュート)が起きなければいいがと

願うばかりです。

目次

生をめぐる雑文

新型コロナウイルス感染症

老いるということ

認知症

高齢者の終末期

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