じつはなかった “終生免疫(二度罹りなし)”
2021年2月
- 新型コロナウイルス感染症
伝染する感染症は、ワクチンを打てば予防できるのではないか?
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)やジフテリアは終生免疫が成り立つというし、
個体差はあっても免疫記憶が成り立つのが常識だったはずでは?
との疑問を抱く方も多いと思います。
しかし終生免疫(二度罹りなし)については、
これも従来の免疫学的常識が誤っていたことが、近年明らかにされました。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)やジフテリアのように、
全身症状がみられる感染症ほど有力な抗体が誘導されて、
抗原排除や免疫記憶が強く残るとされてきましたが、
その抗体も排除システムも、
時が経つにつれて日々薄れていってしまうことがわかりました。
一度感染したり、ワクチンをすれば二度罹りなしのようにみえたのは、
ときどきウイルス(抗原)攻撃を受けるたびに、その都度免疫記憶が活性化され、
ウイルス駆逐反応が個々人で迅速に起きていただけのこと――
それが真相らしいのです。
ですから “終生免疫” が成り立つとされてきた麻疹(はしか)は、
予防接種後30~40年以上も経って発症するケースが問題になっています。
ウイルス攻撃を受けないクリーンな環境に長くいれば、
免疫記憶は劣化していくことで、再感染が起きるということになります。
流行性耳下腺炎やジフテリア、百日咳のように、免疫記憶が長く続く場合と、
そうでないインフルエンザ(持続は数カ月)や帯状疱疹(ほとんど続かず)があるように
病原体によって免疫が長く持続する場合と、そうでない場合がある理由は?
……そのあたりは、まだわかっていないというのが実情のようです。