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浜辺の診療室から

全容が解明されるまでは基本に忠実な生活を
(感染拡大とワクチン接種 第10回)
2021年2月

  • 新型コロナウイルス感染症

空気中に漂っていたウイルスが、ヒトの細胞に入り込むには、

10分程度の時間を要するといわれます。

また細胞内でウイルスが増殖するには、10時間ほどかかるようです。

一方、新たな免疫を獲得するには8週間の時間が必要であり、

以前に罹った感染症に対して免疫が呼び起こされるためには、

6週間の時間が必要といわれます。

 

新型コロナの場合、

自然感染であってもワクチンであっても、抗体の持続時間は数か月以内。

年単位で持続するといった報告はありません。

ということは、

時々刻々抵抗力が減衰してゆくことを前提とした

“持続可能な対処法” が待たれます。

 

新興感染症の全容が解明されるまでは

インフルエンザ対応のように、

手洗いの励行、他者との距離を保つ、閉鎖空間で長居しないなど

基本に忠実な生活を地道に送るとともに、

感染したら、一つひとつつぶしにかかるのが、一番手堅いように思います。

軽症の時点で使える経口治療薬が待たれる所以です。

 

 

 

ところで感染症の歴史は、とても長いことをご存じですか。

たとえば弥生時代からあった結核は、戦中戦後に爆発的な広がりをみせました。現在の状態になるまでには公衆衛生の役割と、抗結核薬の登場が大きいといえます。

また戦前までは、コレラのような感染性胃腸炎や肺炎も死因として多かったのですが、それにブレーキをかけたのは抗生剤でした。

 

そうした経緯からか、感染したら薬を飲めばいいといった風潮が現代人に根付いてしまったように思います。あるいは無菌パッケージされた食品が増えたから、これくらいなら感染しないだろうといった思い込みも強いように感じます。電車のなかでも、旅行客が向き合って食べながら、あれこれしゃべっている風景は、珍しくありません。

 

結核は現代でもしぶとく残っています。感染してもすぐに発症するわけでなく、感染した人がすべからく発症するのでもない点は、新型コロナとよく似ています。

似ている点は感染様式も同じで、結核も新型コロナも主たる感染様式は空気感染(飛沫核感染)です。気道(口からノドを経て、気管や肺までをいう)に病原体を持った人が、咳やくしゃみ、会話をすることで病原体が空中にばら撒かれ、空中に長いあいだふわりふわりと漂っている粒子を、他の人が吸い込むことで感染します。

 

 

ここからは少し懸念していることと、希望などをちょっと。

テレビでは、いまだに透明なマウスシールドをよく見かけますし、いざ食べるときは、そのシールドを外して、そのあともそのまま食レポをしたりしています。

パネラーの間に透明なアクリル板はあっても、パネラーたちはノーマスクでしゃべっています。いやいやスタジオに入る前には毎日コロナチェックをしてますよと言われそうですが、潜伏期であればチェックしてみたところで陰性と出てきます。

しかもマスクは、不織布より機能的に劣るとされるウレタンや布が大半です。たしかに不織布は地味で、ウレタンや布がオシャレでしょうけれど……。

テレビという媒体は、視聴者に対して一定の影響力を持つと思います。

行動の仔細まで注文をつける気はありませんが、

透明マウスシールドやアクリル板を置くだけといった対応は、そろそろ中止してもよいのではという気がします。

 

蛇足ながら、どうみても不織布にはみえないオシャレマスクもしばしば見かけるようになりました。無症候性感染者もいるはずとの前提に立って、当院を受診するすべての患者さんには不織布マスク着用での受診をお願いしていますが、「これ、布じゃないんです。不織布なんですよ」とマスクを指さしてにやりと笑う患者さんが何人もいて脱帽しました。

ニッポンの企業は、やっぱり好きだなと拍手を送りたくなりました。

 

 

ともあれ感染しないための情報や知識なら、ほぼ出尽くしています。

それらに目新しいものはなく、しつこい感染症の歴史から生まれた、やや古めかしいノウハウばかりです。それらをどう身につけて行動に反映させるかは、個々人の問題なのでしょう。重症化して集中治療室での治療もできれば避けたいところですが、後遺症のブレイン・フォグも厄介です。

そこまで考えての判断や行動であってほしいと願います。

 

 

 

目次

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