令和6年までの収載は終了しました。
- 老いるということ
あ
あ
あ
ひかりのポケット
あなたのこころなかに
小さなポケットがあります
そこには あの日の笑い声が
まだ ちゃんと入っています
朝の光がやわらかく差すとき
そのポケットが すこしだけ膨らみます
風がそっと吹くと
なかの笑い声が ふわりと揺れます
涙で曇った日も
そのポケットだけは乾いています
なぜなら そこには
あなたが「愛した時間」そのものが
息をしているからです
これからの日々で
道の端に小さな花を見つけたら
どうか 立ち止まってみてください
その花びらの奥に
あなたを想う気配が そっと息づいている
……わかりますか
手を伸ばしても届かない
でも感じることができるなら
それが あなたの歩みを照らしてくれる
ひかりのかけらです
悲しみは抱えたままでいい
ムリに揺り動かさなくていい
そのまま抱え続けることで
ポケットのなかで息づいていたひかりは
やがてあなたに溶け込み
明日のひかりとなって
いつまでも寄り添ってくれるはずです
ふたり分の陽だまり
窓ぎわに
ふたり分の陽だまりができている
湯のみの湯気は
いつのまにか似た形になり
かさかさで しわしわの手は
干し柿のように似かよっている
あきらめでなく
肩の力が抜けたやさしさが
静かに部屋を満たしていく
夕方になれば また同じ話をして
明日になれば またきっと忘れてしまう
でもたいがいのことは
まあいいか といって笑いあえる
大きな夢は
もうどこかへ旅立ってしまったけれど
代わりに 静かな願いがひとつ残った
それは今日もまた
こうして一緒にいられること
胸の奥がほんのり
陽だまりのように
あたたかくなっていく





