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健康長寿サロン

花粉症や黄砂について

今年は花粉の量が例年の1.3倍とか1.6倍などといったニュースをテレビで見ました。一方で、黄砂注意報やPM2.5といった要素にも注意が必要との話もあります。

花粉症や黄砂、PM2.5などについての概説をお願いします。

 

 

花粉が体に入ることでアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などが起きます。

花粉粒子のサイズは20μm~50μmです。スギ花粉は約30~40μm、ヒノキ花粉は25~35μm程度です。1ミリは1メートルの千分の1,1マイクロは、1メートルの百万分の1です。

このサイズの粒子は肺に入れず、肺の前にある鼻咽頭に症状をもたらしアレルギー症状が起きます。

しかし地面に落ちた花粉が人や車に踏みつけられて粉々になって,表面部分が微粒子化して舞い上がると,吸いこんで肺まで届くため、ゼンソクが誘発されることもあります。

体に花粉成分を入れないためにも、マスク着用を心掛けることが推奨されています。

ところで春季のアレルギー疾患は、花粉だけで起こるわけではありません。

👉黄砂やPM2.5に留意です。

 

 

鉱物粉塵としての黄砂

黄砂とは、東アジア内陸部のモンゴルや、中国の砂漠から大気中へ舞い上がる砂粒(鉱物ダスト)のことです。日本へ到達するような大規模な黄砂は、乾燥地域での低気圧に伴う強風で発生します。

黄砂自体は、名称のとおり砂で、日本へ運ばれてくる黄砂は、直径数μm(マイクロメートル、1μmは1mmの1000分の1)程度の粒子です。

黄砂の主成分は、以下のような鉱物粒子です。
• 石英(シリカ)
• 長石
• 雲母
• 炭酸カルシウム
• 粘土鉱物

これらは物性や医学の側面から、鉱物粉じん(mineral dust)に分類されます。

黄砂には鉱物粉じんとしての性質があり、吸入によって肺へのダメージは、たしかに起こり得ます。
けれども、じん肺のように長期間吸入するわけではないため、一般的な環境濃度では「健康な人に急激な肺障害を起こすほど強い毒性はない」と解釈してください。

ただし、慢性の刺激やアレルギー悪化の原因にはなり得ます。黄砂の粒子は比較的粗いものが多く、咳やノド喉の違和感、気道刺激などを引き起こすことがあるからです。

 

 

黄砂は有害物質の塊 呼吸器や循環器系疾患へのリスクあり

ところが黄砂は単なる「砂」ではなく、中国大陸の砂漠地帯から偏西風に乗って運ばれてくる過程で、工業地帯の汚染物質や微生物を吸着するため、非常に複雑な汚染物質の混合体へと変化しています。大気汚染物質として硫酸イオンや硝酸イオンは粘膜刺激作用があり、多環芳香族炭化水素 (PAHs)は発がん作用があります。

微生物には細菌、真菌があり、真菌(かび)はゼンソクアレルギー症状を引き起こす原因物質です。また細菌の細胞壁に含まれる毒素成分/リポ多糖(LPS)は、種々の炎症性サイトカインの分泌を促進する作用があります。このため肺に入ると強い炎症反応を引き起こし、ゼンソクを悪化させます。

 

上の図(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会資料から)にあるように、ウイルスや細菌はとても小さく、花粉が思いのほか大きいということがわかります。PM2・5は細菌より大きいものの、人の細胞よりは小さいことがわかります。

対策としては、黄砂がひどい日は「不織布マスク」の着用(PM2・5対応が望ましい)、帰宅時の「うがい・手洗い・ 服を払う」、洗濯物の「室内干し」を徹底することをお勧めします。

 

 

 

PM2・5は、鼻炎症状を悪化させる

黄砂粒子の直径は約4マイクロメートル程度ですが、その中にはさらに小さい微小粒子状物質が多く含まれていす。サイズが2.5マイクロメートル(PM2.5)であることから「PM2・5」と呼ばれます。PM2・5が厄介なのは、サイズが非常に小さいため鼻や喉のフィルターを通り抜け、肺胞(肺の最深部)まで到達する点にあります。さらに肺から血液中に入り込み、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾患のリスクを高めるという衝撃的な研究結果もあります。

 

PM2.5は「粒子の大きさ」を示す用語ですが、中身(成分)は非常に多様です。
結論からいうと、PM2.5はサイズで分類された混合物であり、特定の物質名ではありません。

まずPM2.5とは、直径2.5 µm以下の微小粒子状物質(Particulate Matter 2.5)であり、このサイズは 上で触れたとおり肺の奥(肺胞)まで到達しやすい大きさです。

しかし中身は単一の物質ではなく、さまざまな粒子の混合物です。

① 二次生成粒子(大気中で化学反応してできる)

• 硫酸塩(SO₄²⁻)
• 硝酸塩(NO₃⁻)
• アンモニウム塩(NH₄⁺)
これらは自動車・工場の排ガスから生成されることが多いとされます。

 

② 炭素系粒子

• ブラックカーボン(すす)
• 有機炭素(OC)
ディーゼル車、バイオマス燃焼、工場などが主な発生源です。

 

③ 金属・鉱物粒子

• 鉄、銅、亜鉛、錫(スズ)などの金属微粒子
• 土壌由来の鉱物粉じん(シリカ、アルミナなど)                                   • タイヤ・ブレーキ摩耗粉

黄砂や工事現場、土壌の巻き上げなどに由来します。この中に スズ(Sn)やスズ化合物 が検出され、それが 鼻粘膜のムチン(MUC5ACなど)を増加させ、鼻炎症状を悪化させる という報告が、名古屋大からありました。

 

④ その他

• 花粉の破片
• 微生物(細菌・真菌)
• 海塩粒子
• 有機化学物質(PAHsなど)

 

PM2.5がなぜ問題になるかといえば、粒子が小さいため、肺胞まで到達しやすいこと、血流に移行する可能性があること、慢性炎症を引き起こす可能性があるといった理由で、呼吸器疾患や循環器疾患のリスク上昇が指摘されているためです。

 

 

 

黄砂とPM2・5の健康障害 その差異

黄砂とPM2.5――どちらも空気中を漂う粒子ですが、その成分や体への入り方が大きく異なります。
まず黄砂です。
黄砂は、シリカや長石、炭酸カルシウムといった“鉱物の粉”が主体です。粒子は比較的大きく、鼻や喉といった上気道で止まりやすいのが特徴です。そのため、目のかゆみ、鼻炎、咳、そしてアレルギー症状の悪化といった上気道中心のトラブルが起こりやすくなります。

 

一方でPM2.5は、まったく性質が違います。こちらは直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒子で、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ブラックカーボン、金属など、さまざまな成分が混ざり合った“微小粒子の集合体”です。粒子が小さいため、肺の奥、肺胞まで到達し、場合によっては血流にまで移行する可能性があります。
その結果、呼吸器だけでなく、心血管系など全身への影響が指摘されています。

つまり、

✅ 黄砂は、“上気道の刺激やアレルギー悪化が中心”。

✅ PM2.5は、“肺胞まで届き、全身に影響し得る”。

この違いが、健康影響の本質的な差につながっています。
そしてもうひとつ重要なのは、黄砂が飛ぶ日はPM2.5も同時に増えることが多いという点です。
黄砂そのものより、黄砂に付着したPM2.5や化学物質が問題になるケースもあります。

以上が、黄砂とPM2.5の健康障害の違いです。

 

 

 

花粉症とゼンソクは関係がある  長引く咳は受診を勧めます

鼻から喉、そして肺へと続く気管支は、一本のつながった管(気道)であることから、入り口である鼻にアレルギー炎症(花粉症)や副鼻腔炎といったトラブルが起きると、その影響が奥の気管支にも及び、喘息の症状が出やすくなります。ゼンソク患者さんの約7~8割がアレルギー性鼻炎(花粉症含む)を合併しており、逆にアレルギー性鼻炎がある方は、そうでない方に比べて約3倍もゼンソクを発症しやすいとされます。慢性副鼻腔炎があるゼンソク患者さんは、慢性副鼻腔炎の悪化に伴い、ゼンソク症状がとめどなく常態化する傾向があります。

 

👉いつまでも咳がとれない、市販の咳止め(鎮咳剤)を服用してもよくならない場合は、ゼンソク状態(気道が過敏で不安定化している)になっている可能性があります。

一度咳が出始めると止まらず 会話や食事が中断されることがある、冷たい空気を吸ったときや 強い匂いを嗅いだときに咳き込むときは、気管支が過敏になっていたり、気道が狭くなっている可能性が高いため、医療機関を受診するようにしてください。

 

 

 

日常生活での留意点 マスクや着替えなど

外出時は高性能な不織布マスクを隙間なく着用し、PM2・5などの飛散予測をチェックすることは喘息悪化を防ぐ大切なポイントです。メガネや帽子を着用してもよいでしょう。また花粉を家に持ち込まないためにできることとして、家に入る前に服や髪の花粉を払う、帰ったらすぐシャワーを浴びて着替える、こまめに掃除をするなども効果があります。

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