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健康長寿サロン

話題のハッピーホルモンって何?

お題)

バラエティ番組で紹介された“ハッピーホルモン”って何? とのリクエストがありました。

 

喜びや楽しみ、やる気といった幸福感を与える物質が、俗に「幸せホルモン」と呼ばれるようです。

幸せホルモンと呼ばれる代表的な物質は3種類あるらしく、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンが紹介されていました。真偽は深く追求しないで、まずこれらの物質を説明してみましょう。ちょっと細かくなりますが……。

 

セロトニン

セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンを経てセロトニンになります。人体内には約10mg存在し、消化管粘膜に90%、血小板中に8%、脳内の中枢神経系に2%存在します。脳内では神経伝達物質として自律神経調整に関与しています。

 

■セロトニンを安定供給するためには、大豆食品や乳製品を食べるといいらしい……

脳内の神経伝達物質として働くセロトニン(脳内セロトニン)は脳幹と呼ばれる部分で合成されます。腸で生成されたセロトニンは血液脳関門を通らないため脳の神経細胞に直接作用する可能性はありません。中間代謝物の5-ヒドロキシトリプトファンは血液脳関門を通過するものの種々の副作用を示すため、脳内セロトニンを増やすには、栄養学的にトリプトファンの摂取が重要といわれています。

おすすめは大豆や乳製品で、納豆、豆腐、味噌(みそ)、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどのようです。

 

■日中に散歩しよう

セロトニン代謝に重要なのは「太陽の光」です。太陽の光が網膜を刺激してセロトニンの生成を活性化してくれます。1日15分~30分は外に出て日光を浴びましょう。

 

 

オキシトシン

もともとオキシトシンは「出産・育児の際に分泌されるホルモン」として知られていました。オキシトシンには、幸福感を与える、社交性を高める、不安や恐怖心を和らげるといった効果も期待されるようです。

■スキンシップによるオキシトシン上昇

見つめ合う、手をつなぐ、抱き合うといったスキンシップ、家族とのだんらんや心を許せる友人との食事や会話などでも、オキシトシンを効果的に分泌させることができるようです。

 

■人にやさしくすることでもオキシトシンが上昇する

オキシトシンは「思いやりホルモン」とも呼ばれているようです。それは、相手を思いやって何かを分け与えたり助けたりすることでも、オキシトシンが分泌されるためです。人にプレゼントしたり、親切にしたり、助け合ったりすると体内のオキシトシン量は増加します。スキンシップのひとつであるマッサージには、思いやりによる効果も期待できるとの話もあるようです。マッサージは受けている側よりも、施術している側の方が多くのオキシトシンが分泌されます。これは「相手を癒やしたい」という思いやりの心を持ってスキンシップをすることで、よりオキシトシンが増加するためと考えられています。幸福感が足りないと感じたら、人にやさしくすることで良い効果が期待できるということでしょうか。

 

ドーパミン(ドパミン)

ドーパミンの分泌が活性化されると、学習能力や仕事能率のアップが期待できます。ほかにも、達成感、快感、喜び、感動などももたらします。

ドーパミンが不足すると「やる気が起きない」「記憶力や作業能率の低下」「無関心・無感動」などを引き起こし、幸福感の低下につながるとされます。

 

■幸せホルモンを増やすには腸内環境も重要

脳内ホルモンの一種である幸せホルモンですが、じつは腸の働きとも大きな関わりがあります。腸内環境をよくすることは、いろいろな意味で大事なのですね。

 

 

「うつ病」の病態から見えてくる神経化学物質やホルモンなど

ここからはうわさレベルの話ではなく、医学的な話をちょっとしてみます。

■うつ病が発症する要因

脳の中では、情報を伝達するためにさまざまな神経伝達物質が働いており、そのうちセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンは、モノアミンと総称されています。一説に、うつ病は、このモノアミンが減ることで引き起こされるとされています。しかし、これだけでうつ病が発症するしくみをすべて説明できるわけではなく、ほかにもいくつかの説があります。

 

■うつ病の原因――神経伝達物質の役割

脳では神経細胞同士の情報伝達によって、心の機能(意思や感情)や体の機能(行動や運動)を司る細胞に伝えていくはたらきを持っています。脳の神経細胞同士も、さまざまな情報を基本的に電気信号でやりとりしています。

うつ病の治療で重視される神経伝達物質のうち、セロトニンは抑制型の神経伝達物質で、ノルアドレナリン、ドパミン(=ドーパミン)は興奮型の神経伝達物質です。

脳内の神経化学物質は相互に関係しています。健康な状態では、神経伝達物質のバランスがとれており、脳や体の機能も健全に保たれるのです。多ければ多いほどよい、増やせるだけ増やそうといった考え方には注意をする必要があります。

原料となる食品をバランスよく摂取し、平穏な生活をこころがけることが大事です。

 

下の図をご覧ください。

ノルアドレナリンやドパミンは、多ければ多いほどよいというわけではないことがわかります。

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