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健康長寿サロン

新型コロナ感染症の現状と展望など2
(各種報道や資料をもとに わかる範囲内で)

話題提供)

(後半)新型コロナ感染症が増えてきたため、知っていたいことを集めました。

 

Q9 私は新型コロナワクチン受けて平気?  妊婦の場合 (東京新聞版)

A9 妊婦の場合、特に妊娠28週以降の後期は新型コロナに感染すると重症化しやすいと分かっている。米国では4月時点で7万人以上の妊婦が接種を済ませているが、重篤な副反応や胎児への影響は報告されていない。中長期的な安全性は不明だが、重症化を防ぐという点で、接種のメリットはリスクを上回ると考えられる。特に感染すると重症化しやすい妊娠糖尿病や高齢、肥満などの場合、または感染リスクの高い医療や介護の現場で働いているといった場合は、メリットはより高い。

念のため心臓など胎児の器官がつくられる妊娠12週(3カ月)までは避け、27週ごろまでに2度の接種を終えるのが望ましい。接種後1週間以内に健診を受け、胎児の様子を確認することも勧める。打った後で、腹痛や胎動減少などの気になる変化があれば、かかりつけ医を受診することが大事だ。(愛知医科大 産婦人科准教授 野口靖之)

 

Q10 私は新型コロナワクチン受けて平気?  アレルギーがある人 (東京新聞版)

A10 アレルギーの原因物質には、卵や牛乳、ソバ、ハチ毒、花粉などいろいろあるが、ワクチンの成分と関係がない場合は、基本的に接種を受けて問題はない。全身にじんましんが出る、唇や皮膚が腫れる、呼吸が苦しくなるなどのアナフィラキシーを過去に起こしたことがある場合も接種は可能。アナフィラキシーは、接種後十五分以内に起きることが多く、すぐアドレナリンを注射すれば回復する。アナフィラキシーの経験がある人は接種前の問診で申告し、接種後三〇分は会場に待機することが大事だ。

ぜんそくの患者で、炎症を抑える吸入ステロイド薬を自分でやめていたり、通院していなかったり、症状のコントロール状態が悪い人は、アナフィラキシーが起きると重篤化する恐れがある。少しでもいつもと体調が違ったら、会場の問診で伝えてほしい。吸入ステロイド薬や、アレルギー性鼻炎を抑える抗ヒスタミン薬は、当日も普段通りに服用して大丈夫だ。

気を付けたいのは、化粧品や下剤などにも含まれている「ポリエチレングリコール(PEG)」やポリソルベートという成分に対して重いアレルギー反応を起こしたことのある人。日本で使われているファイザー製、モデルナ製のワクチンはいずれもPEGを含んでいるためで、米国の疾病対策センター(CDC)も接種を推奨していない。

ただしPEGアレルギーのある人は非常にまれ。自分がそれに当てはまるか分からない場合を含め、別のワクチンや薬剤で重篤なアレルギー症状が出たことがある人は、接種前にかかりつけ医などに相談するなど注意してほしい。(福井大病院長 大嶋勇成)

 

Q11 私は新型コロナワクチン受けて平気?  がん治療を受けている人 (東京新聞版)

A11 がんは、適切なタイミングで、適切な治療を施すことが重要だ。新型コロナに感染して手術や検査の予定が延び、治療計画が変われば、進行や再発のリスクが高まる。体を守る免疫を刺激して発症を予防するワクチンの利益は、副反応などの不利益を大きく上回る。

国内外の報告を見ても、接種によるがん治療中の患者固有のリスクはない。ただ、薬物療法の最中には、接種を避けた方が望ましい期間がある。例えば、がん細胞の増殖を邪魔する「細胞傷害性抗腫瘍薬」の使用で白血球数が最少になっている時期だ。免疫が働きにくく、ワクチンの効果が弱まりがち。吐き気や嘔吐(おうと)を防ぐために投与当日に使うステロイドも、免疫機能を抑える働きがある。

初めて抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを投与するときも、接種は避けた方が無難。投与したことのない薬の副作用パターンを把握する必要があるからだ。ワクチンの副反応には発熱や倦怠(けんたい)感などがあるが、治療薬でも起こり得る。体の反応がどちらの影響なのか判別しづらくなり、がんの治療効果を評価することが難しくなる。国内のワクチン供給は流動的で、接種時期を自由に選べる状況とは言いがたいが、主治医とよく相談してほしい。

日本癌(がん)治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会は三月、治療の種類と新型コロナのワクチン接種に関してQ&Aを作った。それぞれの学会のホームページで公開しているので、迷ったら参考にしてもらいたい。(愛知県がんセンター副院長 室圭)

 

Q12 二回目のワクチン実施予定日に発熱による体調不良で接種ができなかった。

二回目の接種は、もうあきらめるしかないか?

A12 まず、ワクチン実施窓口(市町村または個別接種医療機関)に相談するとよい。

英・University of OxfordのMerryn Voysey氏らは、同大学とアストラゼネカ社が共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性と安全性を検討し、結果発表した。それによると、同ワクチンは1回目の接種から90日後つまり3か月後においても新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する特異的IgG抗体価が維持され、1回目と2回目の接種間隔が長いほど有効性が高いという結果を報告した。

つまり初回から3週間経った時点より、長い時期を経ても抗体産生が期待できるという報告。しかし日本の場合、国が実施するワクチンという制約があるため、どれくらい間隔を置いて実施が可能かは、市町村や医療機関にカクニンする必要あり。

ルールどおりに行わなかった場合、ワクチンによる不利益(重い副症状)が生じたとしても、補償対象外になる可能性がある。

 

Q13 ワクチン接種後の副作用として追加された心筋炎とは?

A13 2回目の接種を受けた後に多く、10~20代の男性に多い。通常の心筋炎より早く回復するといった特徴が報告されている。

米疾病対策センター(CDC)の予防接種に関する諮問委員会(ACIP)は、12~29歳の心筋炎および心膜炎(心臓を包む膜の炎症)の症例が、6月11日までに323件確認されたとしている。その大半が、メッセンジャーRNA(mRNA)を使ったファイザー社製または米モデルナ社製の新型コロナワクチンを接種してから1週間以内に診断されている。この件数には、5月にファイザー社製ワクチンの接種が承認された12~15歳の子どものデータが含まれている。

委員会が6月23日に発表したその報告書によると、これまでのところ、ワクチン接種後の心筋炎は10代後半から20代前半に最も多い。また、2回目の接種後に発症しやすく、女性よりも男性に多い。しかし、症例は今のところまれであり、大多数の患者は治療にすぐに反応しているという。

 

ワクチンと心筋炎の関連性は?

接種を受けた人の数が増えても、心筋炎の発症率が爆発的に増加しているわけではないと氏は付け加える。「胸の痛みを訴える10代の子たちで救急外来がいっぱいになったりはしていません」。

ワクチンがどのように心筋炎を引き起こすのか、科学者にもまだわかっていない。オスター氏によると、有力な説の1つはサイトカイン反応(免疫細胞を戦闘態勢にする分子の分泌)が関係するというもの。

 

症状は?

ワクチン接種のあと数日以内に胸の痛み、息切れ、心臓の鼓動が速い、鼓動が乱れる、鼓動が激しくなるなどの感覚が、自分や自分の子どもにみられる場合は、医療機関を受診する。心電図、血液検査、MRI検査で心筋炎と診断されるため、MRI検査が可能な医療機関(湯河原や熱海地区だと、JCHO湯河原病院、国際医療福祉大熱海病院、小田原市立病院など)がよい。

なお、初回の接種後に心筋炎と確定した例は、2回目接種を中止または延期するなど、慎重な判断が求められる。

 

症状が出たときの対処法は?

ワクチン接種後の心筋炎の治療については、市販の解熱鎮痛剤の服用から点滴治療やステロイド剤の投与まで、病院ごとに異なる方法がとられている。メカニズムをさらに解明するとともに、長期的な追跡調査を行うことで、最適な治療戦略が明らかになるはずだ。

また、なぜ男性に多いのか、どのくらいの期間で回復するのかについても、さらなる研究によってわかってくるだろう。今回の調査結果と、新型コロナにかかると多臓器不全症候群などの重篤な合併症のリスクがあることを踏まえ、専門家は引き続き10代の若者にワクチンを接種することを推奨している。

「この年齢層の新型コロナ患者の中には非常に重篤なケースもあったので、やはりワクチン接種は適切だと思います」とアズネス氏は述べる。「他の新しい治療法に対してと同様に、私たちは常に注意を払わなければなりません。それが今、私たちがやっていることです」。

 

編注:日本循環器学会は「急性心筋炎・心膜炎が新型コロナワクチン接種後に発症する頻度は極めて稀」「新型コロナワクチン接種により感染・重症化予防を図るメリットの方が、新型コロナワクチン接種後の急性心筋炎・心膜炎に対する懸念よりも圧倒的に大きい」とする資料を6月23日の厚労省の検討会に提出しています。資料はこちら(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796566.pdf:PDFが開きます)。

 

 

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