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健康長寿サロン

新興感染症としての新型コロナウイルス感染症(抜粋2)

話題提供)

(後半)新たに出現したウイルス感染症(COVID-19)について、さらに情報提供しました。

 

Q1:新型コロナウイルスは、どこから来た?

もともとの感染源は、コウモリと確定した。ヒトや動物に感染する大半のウイルスは、コウモリに感染している。ウイルスなどの病原体を運ぶ動物で多いのはコウモリとネズミ。

コウモリを食べる国は中国(高級食材)のほか、インドネシア、ラオスといった東南アジア、オセアニア、アフリカなど。加熱処理される前の捕獲、市場での売買、肉をさばくときに感染する機会が増える。ただし現時点では発来場所の特定は二転三転しており不明。

 

Q2:マスクは結局有効か? 消毒はアルコールがよいのはなぜ?

薄手のマスクはサージカルマスクと呼ばれ、不織布が用いられる。マスクのなかにはフィルターがあり、細菌の飛沫、ウイルスの飛沫、花粉などの微粒子を99%カットできる。飛沫や花粉が口や鼻に侵入するのを防ぐとともに、くしゃみをしたときに飛ぶ飛沫を拡散する効果がある。感染防御は100%ではないが、マスクを着用したほうが、社会的にはベターである。

アルコールは、ウイルスの外膜(エンベロープと呼ぶ)に作用する。エンベロープはタンパク質、糖鎖、脂質で構成されている。アルコールは脂質に作用し、これを溶かして破壊する。有効濃度は、エタノール70%。70%だとエタノールの分子と水の分子の割合が1:1になるため、エタノールの疎水基が平面上に並び、もっとも広い疎水面をつくることができるため。

 

Q3:新型コロナウイルスのPCR検査で、ホントウの感染者数がわかるか?

まず、ウイルス感染者数を調べることで、実数に近づくべきか、それともその必要はないか。

結論をいえば、実数を知ることは今後対策を立てる上で有効といえる。方法は抗原(ウイルス)検査のPCRでなく、抗体検査により感染したかどうかがわかる。ただし感染したから大丈夫とはいえない(後述)。

抗原検査も抗体検査も少ない日本で、総感染者数を推定することは、“ある程度” 可能。

たとえばインフルの場合、国内で「推定1000万人」(厚労省HP)といわれる。この数値は、「定点医療機関からのインフル報告数/定点医療機関の外来患者のべ数 × 全国医療機関の外来患者のべ数」で得られる。たとえば人口1万人という小さな町に医療機関が10あり、定点医療機関は1とする。定点医療機関インフルエンザに罹った人が10人おり、受診者数が100人であり、10の医療機関が同じような受診者数だったと仮定すると、10/100 × 1000=100(インフル罹患者推定値)となる。

 

たとえば、新型コロナでは、約80%が軽症とされる。やや乱暴であるが、3月の時点で日本の検査対象者の多くが重症者(要入院の中等症も含む)と仮定する。3月25日の総感染者報告数は1307名だった。一方、WHOによれば重症感染者は20%なので、全感染者の20%が1307人前後ということになる。総数×0.2=1307であるから、感染者の総数は6535人と推測される。

6月8日の総感染者報告数は17174であるから、感染者の総数は85870人と推測される。

ただし現状は、この仮定と異なり、新宿歌舞伎町での「濃厚接触感染者だが無症状」といった人たちが複数含まれることと、重症感染者が減りつつある段階での報告数であり、推測値の信頼性は低い。

 

ともあれ、風邪症状で受診した場合、インフルエンザなら診断されるが、他のウイルスでは検査されない。圧倒的に多いのは、インフル以外のウイルスでライノウイルス(100種類以上あり)、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなどのウイルス。

これらによる感染者総数は把握されていないし、把握できない。検査項目はあるがターゲットが絞れないため、ほとんど検査されないというのが理由。“風邪”という診断のもの、薬が出ても出なくても帰宅となり、満員電車などの密閉された空間で感染を拡大していく。

流行期に新たなウイルス感染症を初期からコントロールするのは難しいものの、かといって総数を打ち出すことで予防につながるかどうかについては、否定論者も多い。

 

Q4:新型コロナウイルスに感染して抗体ができれば、もう大丈夫か?

そうはいえない。感染拡大を占う上で悩ましいのは、「抗体」の意味づけ。位置づけといったほうが適切かもしれない。生活の自粛は、集団免疫が確立するまでの一時的な辛抱であって、集団免疫が成立すれば感染は怖くないといった話もあるが、そう楽観視もできないとする話がある。以下は、AFP通信に載った記事からの抜粋。フランスマルセイユの公立病院やパスツール研究所、ロンドン大学遺伝学研究所、WHOなどに所属する専門家たちの意見。

 

・ 新型コロナウイルス感染症では、抗体ができるまで約2~3週間かかる。しかし抗体ができても、感染防御ができる期間は、たかだか数か月のみ。

・ SARS(重症急性呼吸器症候群 コロナウイルスによる)では、回復した患者の免疫持続期間が「平均して約3年」だった。つまり免疫を獲得したとしても、3年しかもたない。

・ 入り込んだウイルスが排出され切らずに休眠・無症状状態で体内にとどまり、ヘルペス(帯状疱疹)のような「慢性感染症」になる可能性があるのでは?

・ PCR「偽陰性」の場合、長期にわたって感染力が持続する可能性がある。

・ 抗体反応が起きることが、そのまま獲得免疫を得ることになるかどうかは不明。

・ こうした不確定要素があるため、集団免疫戦略について疑問視する意見あり。

 

Q5:終息宣言が出るのは、どういった条件が整ったときか?

最後の患者においてウイルスが陰性になったのを確認してから、最大潜伏期間の2倍の日数のあいだに、新たな感染者が出ないことが条件。新型コロナの場合、最大潜伏期間を14日とすると、その2倍は28日。WHOが出す終息宣言は、その感染症の流行に対する終息を意味しているため、散発的な発生があったとしても、終息宣言が取り消されるわけではない。たとえばSARSの場合、終息宣言後も感染が散発的に確認されている。しかしそれで終息宣言が撤回されることはなかった。

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