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健康長寿サロン

睡眠障害について その1 
深い眠りと浅い眠り

お題)

(前半)眠れなくて困っている、眠りが浅いような気がするとのリクエストがありました。

 

1.レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という全く異なる2つの睡眠状態に分けられます。

この2つの睡眠が一晩に交互に繰り返されます。レム睡眠は眠っている間に、ピクピクと眼球が急速に動く睡眠のことで、眠りが浅く、夢の多くはこのレム睡眠中に見ます。

一方、ノンレム睡眠は眼球運動が見られない深い眠りです。

なぜこれら2つの睡眠があるのでしょうか? それらはどのような違いがあるのでしょうか?

 

2.レム睡眠中は脳の一部が起きている「記憶の定着」の時間  レム=“浅い眠り”

脳波をみると、レム睡眠では脳の一部は起きている時と同じように活動しています。

脳のなかでも、記憶と学習に関わる扁桃体(へんとうたい)や海馬といわれる大脳辺縁系が活動しており、レム睡眠時には、情報の整理、統合が起こり、記憶の定着が起きていると考えられています。

このようにレム睡眠では脳の活動が盛んなことから、浅い睡眠と言われます。

 

3.ノンレム睡眠中は「脳が休息している」状態  ノンレム=“深い眠り”

一方、ノンレム睡眠では、大脳皮質の神経細胞(ニューロン)の活動が低下してきます。

眠りが深いほど、脳全体の血流も低下します。このことからノンレム睡眠は「深い睡眠」と言われます。いわゆる脳の休息状態で、パソコンに例えるとスリープ状態であります。

レム睡眠とノンレム睡眠には、異なるメカニズムと働きがあるのです。

 

4.睡眠のかたち:レム睡眠とノンレム睡眠は規則的に繰り返されている。

睡眠の約75%はノンレム睡眠(深い眠り)で、残り約25%がレム睡眠(浅い眠り)であり、レム睡眠とノンレム睡眠は約90分の周期で規則正しく繰り返されます。レム睡眠の後は必ずノンレム睡眠が現れます。これが一晩に5、6回繰り返されます。

睡眠が進むほどレム睡眠(浅い眠り)の割合が多くなり、脳を覚醒させる準備に入ります。この間に目覚めると、すっきりと快適な目覚めを得ることができます。

睡眠に対する不満として、朝起きたとき眠気がする、よく眠った感じがしない、昼間に眠気を感じる、といったことがあります。これらは、就寝からノンレム睡眠(深い眠り)出現までの時間(入眠潜時)が長かったり、ノンレム睡眠(深い眠り)の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていないためであることが多いと言えます。

 

5.夢を見るのは主にレム睡眠(浅い眠り)のとき

主に夢を見るのはレム睡眠(浅い眠り)です。非現実的な内容なのに、夢の中では特に違和感は感じないと行ったことは多くありませんか? これはレム睡眠中には、視覚などの感覚をつかさどる大脳皮質感覚野や感情をつかさどる大脳辺縁系が活動している一方で、論理的な思考をつかさどる前頭葉の一部の活動が低下しているためです。

じつは、深いノンレム睡眠時にも夢を見ることが分かっています。その際の夢は、レム睡眠時の夢とは反対に、シンプルで平坦なストーリーが多いと言われています。

 

6.レム・ノンレム睡眠の周期には個人差も

一般的に、レム睡眠とノンレム睡眠の90分周期の区切りで起きると目覚めが良いとされています。しかし、実際には周期は70〜110分間と個人差があります。

自分の「睡眠のかたち」を知り、それに応じて最適な睡眠時間を設定することが大切であります。

日々の生活の中で、自身の睡眠をよく観察することが手助けになるでしょう。

 

7. 高齢者と睡眠は、浅く短くなるのがフツー

睡眠は、年を取るにつれ浅くなっていきます。

下の図をみると、深い睡眠(ノンレム睡眠の第3~4段階)とレム睡眠は、子供より成人が、また成人より高齢者になればなるほど減っていっていくのがわかります。

またグラフをみると、高齢者の睡眠は分断されている部分が増えています。高齢者は睡眠が浅いために、夜間の中途覚醒や早朝覚醒がみられると理解してください。

 

年を取るにつれ睡眠は浅くなるだけでなく、時間も短くなっていきます。下の図をみてみましょう。睡眠時間は生まれたときが最長で、加齢とともに短くなり、70歳にもなると平均睡眠時間は6時間を切るようになります。

高齢者が早寝早起きになるのは、睡眠が浅くなり睡眠時間も短くなることが関係しています。つまり生活リズムが前倒しになっていくのですから、それ自体は自然なことです。

生活にメリハリがあったり、自然な睡眠に恵まれている高齢者も少なくありません。そのような方に話を聞くと、日ごろから注意している点がいくつはあるようです。

少しでも睡眠の質を高めたい人は、以下を守ってみてはどうでしょう。

1.昼間の仮眠をしてみる。昼食後がおススメ。ただし30分以内を守る。

2.仮眠は、床に入る9時間前までに済ます。たとえば午後11時に寝たいのであれば、午後2時以降に仮眠することはしない。

3.寝酒はやめる。アルコールには利尿作用があるため、夜間のトイレが増える。また睡眠自体も浅くなるため。

4.カフェインを含んだ飲料は、夕食以降飲まない。コーヒーとお茶の飲み方を見直してみる。

5.塩分は控えめにする。味の濃いものを食べると、それを薄めようと水分の摂取量が増えます。水分を取らないとノドが乾くので自然と水を飲みたくなる。すると排尿量が増えるため、夜間トイレに行かざるを得なくなる。

 

「若いときより睡眠時間が減った」とか「知人は7時間眠れているというのに、わたしは6時間眠れればよいほう」など、若い頃の自分や他人と比較する行為は感心しません。

睡眠時間は人それぞれですから、昼間に眠くて仕方がないなど睡魔に襲われることがなければよしとする、といった太っ腹な気構えが大事といえます。

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