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健康長寿サロン

意識レベルが落ちた、意識がない…… 
どうしますか?

お題)

先日、近所の人が意識不明で運ばれた。どうなったら気を失うの? とのリクエストがありました。

 

1.意識が保たれる条件とは

それまで覚醒状態にあった人が気を失ったとき、何が起きたと思いますか?

「脳梗塞か脳出血だから、ただちに脳外科受診」と答えた看護師さんが、むかしいました。

誤りとはいえませんが、脳血管障害で意識レベルが落ちることはまれです。

そこでまず下の図で、意識はどう保たれているかを説明します。

意識が保たれ覚醒しているときは、

脳幹からのパルスが脳に向かって連続的に飛ばされているときです。

そしてもうひとつ、脳に血液がきちんと供給されている場合です。

クルマでいえばエンジンが脳で、ガソリンが血液です。

この2つの条件のうち、ひとつが途絶えたとき、意識レベルが落ちます。

ですから脳幹に出血が起きれば、意識レベルが落ちる可能性はありますが、

脳幹出血は、脳出血全体の約8%に過ぎません。

意識レベルの低下は、脳とは別のところに原因がある場合が大半です。

 

 

2.一時的に意識を失うのが失神

意識レベルが落ちても、そのうち元に戻るのが失神で、意識消失とも呼ばれます。

高齢者の場合、失神になる原因は神経反射による場合と、起立性低血圧による場合が多いとのデータがあります(下図)。

74歳までの高齢者では血管迷走神経反射が多く、咳をしたり排便のあとによくみられます。

75歳以上では、神経反射による失神のほかに、起立性低血圧による失神が増えてきます。

高齢者の起立性低血圧は、背景に貧血があることが多く、消化器がんが隠れている例も少なくありません。

消化管から出血していれば気がつきそうなのにと思われるかもしれませんが、

大半は微量の出血が長きに渡って起きているため、意外に無症状であることが多く、

発見は遅れがちになります。

 

3.意識消失と意識障害は、別

意識消失を起こしたとき、もうひとつ大事なことがあります。

それは心拍リズムを生み出している部分が“さぼる”ことで心拍に空白が生まれるケースです。

心臓が動きを止めることで、脳への血流が一時的にストップするために意識を失います。

こうしたケースではペースメーカの植え込みが検討されます。

 

4,静かなてんかん発作でも失神が起こる

過去に交通外傷や脳血管障害を経験した人は、脳に微小のキズが残っていることがあります。

そこが発火点となっててんかんが起こる場合は、症候性てんかん(二次的に起こるてんかん)と呼ばれます。

てんかんというと、口から泡を吹いてけいれんがみられるといったイメージを抱く人が多いと思いますが、ふっと静かになって周囲からの刺激に全く反応しないタイプのてんかんもあり、非けいれん性てんかん重責状態と呼ばれます。

ともあれ意識消失(失神)は、そのうち意識が戻ってくるのが特徴です。

 

5,自然に意識が戻ることがない意識障害

一方、観察していても意識が戻ることがないのが意識障害です。

以下にあるように、高齢者では感染症のほか脱水症や心不全が多く、入院治療が必要になってきます。

(スライド図は、いずれも高齢者施設ナースを対象としたセミナー用に作成したものです)

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