• 0465-64-1600

健康長寿サロン

新型コロナ感染症の現状と展望など 1
(各種報道や資料をもとに わかる範囲内で)

話題提供)

(前半)新型コロナ感染症が増えてきたため、知っていたいことを集めました。

 

Q1 ワクチンを打てば、マスクを外してもよいか?  その理由はなにか?

A1 いけない。ワクチンの効果は100%ではないこと、感染力が強く、重症化しやすい変異株(デルタ株、通称インド株)が流行の主体になっていることなどが理由。

ワクチンを二度接種して十分な抗体ができるとされる二週間が経過したあとに感染したという人や、コロナウイルス感染症に複数回罹患したといった報告もあるため。

 

Q2 3回目のワクチンが予定されていると聞くが?  ワクチンは毎年行うことになる?

A2 免疫学的には、三回目の接種も、毎年一回の接種も行うようになると思われる。

しかしワクチン供給事情があるため、将来のことは不明。

現在のワクチン・デザインを中長期的に評価してからの結論になるといった意見もある。

ワクチンや自然感染によって生ずる中和抗体の持続時間が、いろいろ調べられている。抗体が長期間持続しなければ、そのうち微量になってしまいワクチンをしていない人と同等の防御力しか持たないことになる。このため効果を延長する方法が検討されつつある。

追加ワクチンをすることで効果を延長する効果があり、免疫学ではブースター効果と呼ばれる。たとえば渡航する人に肝炎ワクチンや破傷風ワクチンを接種する場合、初回に続いて、二回目と接種すると効果は一年もつ。そのあと肝炎なら半年、破傷風なら一年~一年半後に三回目を接種すると、効果は複数年持続する。これらはブースター効果を狙った方法である。

ファイザー製やモデルナ製のワクチンの場合、3回目の接種が検討されている国もある。たとえばイギリスでは高齢者や持病のある人、医療従事者などに対し、「ブースター接種」と呼ばれる3回目の接種が、2021年9月にも始まることになった。またイスラエルも三回目の接種を決めた。

ただしワクチン接種が世界の隅々に展開されるまでの2021年9月までは、3回目の接種は控えるようにとの呼びかけがWHO(世界保健機関)から出た。(2021年8月5日)

 

Q3 急増しているデルタ変異株(通称インド株)とは、何?

A3 インドで報告された変異ウイルスは「B.1.617系統」と呼ばれ、「L452R」と「E484Q」という2つの変異を合わせ持つ。日本では2021年4月20日に初めて国内の患者から検出された。

新型コロナウイルス感染症でよく見られる症状は、発熱、乾いたせき、疲労感とされている。だが、デルタ株が主流になっている英国では、頭痛、のどの痛み、鼻水がもっとも多い。

また若い人では、デルタ株の症状は「ひどい風邪」によく似ているという。

「(そうした症状の変化は)世間では認識されていないし、政府の情報のなかでも伝えられていない。そのため、自分はなんらかの季節性の風邪をひいただけだと考えて、そのままパーティーへ出かけ、感染を広めてしまうおそれがある」との指摘がある。

デルタ株の感染力は従来株のおよそ2倍。「きわめて感染しやすい」ということ。

「とてもくっつきやすいウイルスだ。(ワクチン接種が進んでいることにより)実際に防御できる人が増えてきているのに、短期間でこれほどの感染者が出ているのはそのためだ」とする意見もある。

報道によれば、ワクチンも1回だけの接種ではデルタ株に対しては効き目が落ちるが、二度接種した場合は、効き目はわずかに低下する程度だとの意見もある。

 

Q4 変異株「デルタ株」 なぜ怖いの?  感染を防ぐには?  ワクチンの有効性は?  (東京新聞版を一部改変)

A4 変異株とは新型コロナウイルスの遺伝情報の一部が書き換わったもの。このウイルスは、複製(コピー)の段階で変異が起きやすいウイルスであることは当初から指摘されていた。約2週間に1カ所前後の書き換えが起きていると考えられている。

切っても切っても同じ飴が得られるのが金太郎飴。ウイルスの増殖を金太郎飴でたとえると、金太郎飴のようにまったく同じものばかり出てくるのが、ウイルス増殖として「正常な反応」だとすれば、新型コロナウイルスは出てくる金太郎が「白髪」だったり、「ほくろがたくさん」だったりする。金太郎にはちがいないが、見かけ(外観)が異なるため、似ているとはいえ、本来の金太郎とまったく同じわけではない。

生体反応は、この見かけ(外観)に対応する抗体を作って対応するため、いろいろな金太郎が出てくると、以前の対応が役に立たず、防衛機能が発揮できない。

 

デルタ株に感染しないために、1人1人ができることは従来株と同じ。

厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」では、密集、密接、密閉の3密を避けることや、適切なマスクの着用や手洗いの徹底が有効だとしている。

また、内閣官房の「感染拡大防止特設サイト」では、クラスター(集団感染)を分析して分かってきた「感染リスクが高まる『5つの場面』」を紹介し、注意を促している。

具体的には「飲酒を伴う懇親会等」「大人数や長時間におよぶ飲食」「マスクなしでの会話」「狭い空間での共同生活」「居場所の切り替わり」の5つ。「居場所の切り替わり」とは、仕事で休憩時間に入るなどして、休憩室や喫煙所、更衣室に居場所を移した際に気の緩みなどで感染リスクが高まることがあることだと説明している。

ただしデルタ株が流行している現在では、クラスターより感染経路不明例が増えている。特定の人と閉鎖空間でしゃべることをしない、窓開けによる外気導入や扇風機の積極的利用など空気の流れを良くした環境を整えることが推奨されている。

 

Q5 2021年7月あたりから報道で耳にするようになった 「抗体カクテル療法」とは?

A5 2種類の抗体がそれぞれウイルスと結合することで細胞への侵入を阻止することを目的とした治療法。国内で認められたコロナ対応薬剤としては四番目になるため、第四のコロナ治療薬と呼ばれる。2種類の抗体とは「カシリビマブ」と「イムデビマブ」。

カシリビマブとイムデビマブのいう2つの人工抗体で構成され、混合して使用する。抗体を2つ組み合わせることで、ヒト細胞への吸着や侵入を抑制することを目的としている。人工抗体は、正式にはモノクロナール抗体と呼ばれる。

どちらも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRBD(スパイクタンパク:細胞に侵入する最初のステップで登場する)に対する人工抗体(結合部位は少し異なる)のため、ウイルスのスパイクタンパクと生体細胞にあるACE2受容体との結合が抑制されることで、細胞への吸着や進入を抑制阻止する効果を発揮する。

現在用いられているワクチン(ファイザー社製やモデルナ社製)は、接種された人の生体内で、このスパイクタンパクに対する抗体を産生することを目的としている。

一方この薬剤は、抗体そのものを人工的に合成して製品化したもので、それを感染した人の体内に点滴にて注入する。

 

なおマブと最後に、mabとつくのはモノクロナール抗体(monoclonal antibody)の略。乳がん治療薬ハーセプチン(トラスツズマブ)、包括的抗がん剤オプジーボ(ニボルマブ)、抗リウマチ薬ヒュミラ(アダリムマブ)などの抗体医薬は、すべてモノクローナル抗体という意味で、一般名の語尾にmabが付く。これらはWHOが決めた抗体医薬の一般名の命名法。商品として売り出す場合は、覚えやすい商品名がつく。

今回の薬は「ロナプリーブ」との商品名になった。

 

2021年7月27日の報道から)

日本への流通量は限られており、安定供給が難しいことから、厚労省としては一般流通は行わず、ロナプリーブを中外製薬から買い上げ、医療機関からの依頼に基づき無償提供する方針。投与対象とされている「重症化リスク因子を有する者」については、①COV-2067試験の組み入れ基準における重症化リスク因子、②日本の「COVID-19診療の手引き」における重症化リスク因子、③米国のEUAで例示されている重症化リスク因子―のいずれかを有する者であって、医師が必要と判断したものについては投与対象になり得るとし、当面は病院・有床診療所の入院患者に対象を限定する考えを示している。

 

COV-2067試験の組み入れ基準では、重症化リスク因子として「50歳以上」「肥満(BMI 30kg/㎡以上)」「心血管疾患(高血圧を含む)」「慢性肺疾患(喘息を含む)」「1型または2型糖尿病」「慢性腎障害(透析患者を含む)」「慢性肝疾患」「免疫抑制状態」を挙げているが、使用を希望する患者・家族が増えることが予想される中、各医療機関の現場では個々のケースについて難しい判断を迫られることになりそう。(2021年7月27日)

 

 

今後、年に一回の定期的ワクチンが検討される可能性もあることから、ワクチンに関するQ&Aをまとめてみました。

Q6 ワクチン接種間隔や副反応、対象年齢、免疫ができる時期は、ファイザー製とモデルナ製でどう違う? (東京新聞版)

A6 ファイザー製は今年2月に先行して承認され、医療関係者向けの先行接種や、4月に始まった65歳以上の高齢者を対象とした各自治体での接種に使われている。

モデルナ製は5月に英アストラゼネカ製とともに承認され、自衛隊が東京都と大阪府で運営する大規模接種センターや各都道府県などが設けた接種センターなどで使われている。企業や大学などでの職域接種でも、モデルナ製が使われる。

接種対象となるのは、ファイザー製なら12歳から、またモデルナ製なら18歳から。

ファイザー製もモデルナ製も、上腕の筋肉に筋肉注射で接種する点は同じ。異なるのは1回目と2回目の接種間隔で、ファイザー製は3週間、モデルナ製は4週間となっている。1回目と2回目は必ず同じメーカーのワクチンを接種する。

十分な免疫ができるのは、いずれも2回目の接種を受けてから、およそ2週間経ってから。厚生労働省によると、現時点では感染予防効果は十分には明らかになっておらず、ワクチン接種の有無にかかわらず、マスクの着用など適切な感染防止策が求められる。

 

Q7 私は新型コロナワクチン受けて平気?  心臓病患者の場合 (東京新聞版)

A7 新型コロナに感染・発症すると、心臓の筋肉や肺などに炎症が起きる。そうなると、高血圧を含む心臓病の患者は、もともと心臓の余力が少ないため、すぐに耐えられる負荷を超えてしまう。ワクチンは、そうしたリスクを避けるのに有効なので接種を勧める。

接種後は、一定の割合で頭痛や発熱といった副反応が出る。それに伴って血圧が上がると心臓への負担が増す。心臓の状態が不安定なときは、接種の延期も含め慎重に判断する必要がある。接種しても問題はないか、かかりつけ医に確認するといい。

高血圧を含む心臓病の患者の中には、血液をさらさらにするための薬を飲んでいる人がいる。その一つ、不整脈や血栓症、心臓の手術後に処方されることが多いワーファリンなどの抗凝固薬は、接種時に内出血を起こしやすい。とはいえ、薬は普段通り飲むべきで、接種後は打ったところを強く長めに押さえることが大事。予診票には、自分が飲んでいる薬をしっかり書き入れて臨んでほしい。(藤田医科大 循環器内科教授 伊沢英夫)

 

Q8 私は新型コロナワクチン受けて平気?  1回目に強い副反応が出た人の場合 (東京新聞版)

A8 国内で使用中のワクチンは二回接種が基本だ。効果は一回だけでも一定程度見込めるが、低くなる。一回目で痛みや発熱などの副反応が出たとしても、効果を確実にするためには、できる限り決められた間隔で打ってほしい。ただ、重いアレルギー反応「アナフィラキシーショック」が起きた場合は例外だ。現れる頻度は二十万人に一人とまれだが、一回目で入院や応急処置が必要になった人は二回目を打つことができない。

もう一つ、一回目の接種で、数日間にわたり、倦怠(けんたい)感や嘔吐(おうと)など日常生活が送れないほどの強い副反応が出る人が3%ほどいる。個人差もあるし、同じ症状が出るとも限らないが、副反応は一般的に二回目の方が強く出やすい。耐えられないようなら、二回目は中止や延期を検討してもいい。(名鉄病院 予防接種センター長 菊池均)

(以下、次回に続きます)

目次

ページトップへ戻る