死因不明なら変死扱いで解剖
(最期をめぐって 第5回)
- 高齢者の終末期
病死と断定できず、自然死とも断定しかねるなど、死因が特定できないケースがあります。
その場合、ご遺体は変死体として扱われることになります。
変死体とは、死亡が犯罪に起因するものでないことが明らかであるとは言えない死体のこと。
この場合、市中にいる医師では死亡したと診断することができず、検察官による検視の対象となります。実際には、監察医や法医学研究者などの検案によって、死因の判断が行われます。
検死について、法に謳われているのは、以下の内容です。
1.犯罪に起因するものでないことが明らかである場合は、警察官により死体見分(死体取扱規則)が行われる。それ以外の場合は検視が行われる。
2.一般に警察官によって検視が行われ犯罪性の有無を究明される。同時に医師による検案が行われる。
3.犯罪性なしの場合、医師の死体検案によって死体検案書が作成される。なお、検案によっても死因が究明されない場合は、遺族の同意の上で承諾解剖を行うか、監察医制度の地域では遺族の同意がなくても行政解剖を行って死因を究明することが出来る。
ご家族は、最期を病院で対応してもらおうと思っていたし、もらえると思っていた。
だから、急変時は搬送して欲しい、と頼んだ。
けれども、亡くなったと知らされ、原因はわからないと病院の医師から告げられる。
高齢でもあり、病気を抱えて施設に入っていたというのに、原因がわからない……?
だから、ご遺体を開く――つまり解剖することになる、のだという……?
その時刻は、まだ検討中……? 行政解剖にあたる医師が少ない……?
永眠しているというのに体を切り刻んで、しかも、いつやるかわからないなんて……。
葬儀の日取りが組めないじゃないか。
こんなはずじゃなかったのに、といった心情は、このあたりから発生するのでしょう。