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浜辺の診療室から

就職氷河期社会が生み出した8085問題

  • 生をめぐる雑文

2019年も、あと少しで終わります。

日本漢字能力検定協会が発表した今年の漢字は「令」でした。

56年ぶりに東京オリンピックが開催される2020年は、

どのような年になるのでしょう。

 

数字4桁を冠につけた“問題”では、

2025年問題がすっかり定着し、

早くも風化しはじめたように思えます。

にわかに浮上してきたのが8050問題でしょうか。

コトバンクにある説明は、以下のとおりです。

 ひきこもりの長期化、高齢化から引き起こされる社会問題。

 主に50代前後のひきこもりの子どもを80代前後の親が養っている状態を指し、

 経済難からくる生活の困窮や当事者の社会的孤立、病気や介護といった問題によって

 親子共倒れになるリスクが指摘されている。

 

キーワードは、ひきこもり、社会的孤立、高齢化、経済難、共倒れです。

しかもこれらを取り巻くキーワードに、就職氷河期世代が挙げられています。

かつての莫大な就職浪人が、8050問題の温床になっているのです。

 

就職氷河期を生み出した元凶は、

当時指摘された個々人の努力不足や、自分探しなどでなく、

社会――なかでもそろって右向け右をしたカイシャにあったのでしょう。

各社の採用担当者たちが思慮深さと、気概と、勇気を持って、

「採用ゼロは危険」と経営層に進言していれば、

そして経営層も、そろって右向け右をしていなければ、

十余年にも及んだ就職氷河期と、“使えない上司”現象は生まれなかったはずです。

まとまった時間が流れると、問題点が浮き彫りになる好例です。

 

 

 

一度や二度のミスなら、誰にもあります。

けれども、やっぱりヘンだと感じたときには流されることなく、

また風見鶏になるのでもなく、しっかり立ち止まって考え、

意見を出し合って打開案をまとめていく粘り強さが求められます。

なにも言わず、なにもしない姿勢が複数年にわたって放置されたとき、

カイシャや、社会に、修復困難なゆがみが生じてしまう怖さを、

いまを生きるわたしたちは共有しなければならないだろうと思います。

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