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浜辺の診療室から

夜のタイムスリップ
30年前と同じものと、消え去ったもの

  • 生をめぐる雑文

夜の郊外をクルマで走っていると、

気づくことがあります。

建物や掲示物、山並みや海の景色など、

昼間フツーに見えていたものが

まったく見えないことです。

 

ああ、この場所にこんなものがあったっけ、と気づくのは、

たとえば信号で止まったときでしょう。

この景色はいつか見たことがある。あのときと同じだ……。

タイムスリップしたような感覚に包まれるのは、

決まって夜です。

昨日、温泉にいった帰りに

この感覚に包まれました。

あのときとは、およそ30年前。

毎週、クルマで上京して仕事を終えたあと、

勤務していた病院まで戻るといったことを、

2年ほどしていました。

片道140キロはありましたから、

官舎に戻るのは、決まって深夜でした。

勤務先の病院は、

その道路をさらに南に25キロほど行ったところにありました。

30年ぶりに同じ道をとおりながら、

海岸道路の信号で止まったとき、

あのときと同じだと

思ったのです。

 

 

薬は進化します。

あのときに使っていた薬をいまも使っていますが、

あのときにはなかった薬もかなり増えています。

けれども、薬を投与する人の病態や

病そのものの本質は

あのときと少しも変わっていません。

 

その時代の平均寿命は、女性が80歳で、男性は74歳でした。

現在の平均寿命は、女性が87歳で、男性は81歳です。

あのころ認知症は、

さほど社会問題化していませんでした。

ですから認知症といった病名もありませんでした。

認知症なる名称が登場したのは、

2004年のことです。

目次

認知症

高齢者の終末期

老いるということ

新型コロナウイルス感染症

心療内科

介護・医療・福祉の現場から

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