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浜辺の診療室から

ノスタルジーの効能

  • 生をめぐる雑文

先日、となり町にある喫茶店に入ったとき、

なんともいえない懐かしさを感じました。

創業は昭和34年。

調べてみると、国民年金制度が発足し、

日本教育テレビ(現テレビ朝日)やフジテレビが

この年に開局していました。

少年マガジンや少年サンデーが創刊し、

長嶋茂雄さんが天覧試合でサヨナラ本塁打を打った年

でもあるようでした。

 

ノスタルジーについて、ライフハッカー日本版には

2つの意見が載っています。まずは否定的な意見。

 ノスタルジーの問題は、過去のことを考えるのに時間を割くあまり、

 新しい思い出が作られなくなる点にある。

 そうなると、新しいことをしない、新しい思い出が作られない、

 新しい出会いを楽しまない、新しい物事を学ばないといった

 悪循環を生み出しかねない。

だから、過去ばかり振り返るなといわれるのでしょう。

 

一方、悪いことばかりではないとする肯定的な意見もあります。

 ノスタルジーは多くの点で有益であることがわかってきた。

 自己評価を高めてくれる場合があり、人生の意味を見つけたり、

 孤独に立ち向かったりするのにも、役に立つ。

個人が歩いてきた道をときに振り返ることで、

少しだけ褒めてあげてもいいじゃないかとする立場です。

 

 

わたしたちが懐かしさを感ずるとき……。

それはかつての光景を写真で見たり、

聞いたことのある楽曲を耳にしたとき。

あるいはどこかで嗅いだ香りに包まれたとき。

視覚、聴覚、嗅覚によって入ってきた情報が、

“過去”というボックスに折りたたまれた記憶の端っぽを

ひょいと引っぱってくれるのでしょうか。

 

記憶にはイヤな思い出もあるでしょう。

現代はあまりに合理主義的になったと

うなだれるときもあるでしょう。

ノスタルジーはそれらを瞬時にかき消し、

忘れかけていた温情や、まろやかさを

感謝や、改悛の情とともに抽出してくれる。

そのとき、自分が歩んできた道に対する肯定が

はじめて生まれるのだろうと思いました。

 

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