低気圧がくる前に体調不良になる方へ
ちょっとした対処法
- 心療内科
台風が来る前にゼンソク発作が起きたり、梅雨の時期になると昔の古傷が痛むといった話はよく知られています。たとえば中心気圧が950ヘクトパスカル以下の強い台風が南の海上に発生すると症状が悪化し、上陸することには幾分改善しているといった話は、ゼンソクでよくあります。
むち打ち症など整形領域の軟部組織疾患は、梅雨の時期全般を通して悪いようです。
メンタル系で苦戦している方のなかにも、台風襲来時期や天候不順のときに状態が悪化するケースは珍しくなく、布団から出ることができない、不安感、抑うつ気分、全身倦怠感、めまいといった症状が悪化することは、よく経験するところです。
わたしたちは変化した気圧をどこで感知しているのでしょう?
答は、耳の奥にある内耳の気圧センサーです。 気圧が変化することで気圧センサーが興奮し、内リンパ液と外リンパ液の間に微妙な波のズレが起きます。するとこの変化が脳の中枢にある自律神経に伝わり、自律神経系が普段と違った動きをみせるようになります。
自律神経は、興奮モードをもたらす交感神経系と、リラックスモードをもたらす副交感神経系から成り、自分(つまり脳)ではどうすることもできない器官のコントロールをしています。
たとえば食べると胃液が出たり、暑いと汗をかくといった反応は、自律神経の働きによるわけです。食べても胃液を出したくないと思っても、また暑いければ汗をかきたくないと思ってみても、自分ではどうすることもできませんね。
耳の奥にある内耳周辺の血流を良くしてあげると、低気圧による体調不良の軽減が期待されます。
方法は次の2つ。ひとつめは、両側の耳たぶを軽く横に引っ張って、5~10秒ほどしたら離すことを、2回やります。そのあと、両側の耳たぶを前後ななめに回すことを3回行ってみてください。一回にやるのは、3セットほど。しばらく時間をおいて、またやってもよいでしょう。
ふたつめは、呼吸を意図的に調整する方法です。
立った姿勢になったら、まず両手で「前へならえ」をします。次に息を吸いながら右手を上まで上げていき、左手は反対に下げていき、両手の角度が180°になるようにします。そのあと息を吐きながら「前へならえ」のポジションに腕を戻します。今度は左右の手を逆にしてやってみてください。この動作を5分ほどかけて、ゆっくり行います。
なおいつももらっている薬を症状に応じて増やしてよいかどうかは、主治医先生にうかがってみてください。