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浜辺の診療室から

ご家族の意向が叶うような説明を
(最期をめぐって 第7回 終わり)

  • 高齢者の終末期

施設内での看取りをする場合、医師による説明の前に、施設として、やっておきたいことがあります。いうまでもなく、終末期のありかたについて、ご意向を確かめる作業です。

入所者やご家族は、どのようなありかたを「よき最期」として望んでいるのか。延命措置を望むのか、望まないのか。それを実現するには、施設がよいのか、それとも療養型やホスピスのような病院なのか、あるいは自宅なのか。

 

気をつけたいことは、医療が関係した内容を、医療の現場とは距離を置いた人たちだけで話し合う点です。たとえば「終末期は病院を希望する。できることは心肺蘇生でも人工呼吸器装着でも、とにかく何でもお願いしたい」といった意見を認めてしまうと、医療機関は困ります。それは医療機関と患者家族が、病院という場で話し合って決めることだからです。

 

終末期の説明にかける時間は、じつは病院でもまとまった時間を要します。

たとえば延命措置とひとくちにいっても、呼吸循環の管理までするのか、栄養や水分の管理だけでいいのかでは、対応の内容が異なってくるからです。

 

施設ではどこまで対応できるのか、さらに在宅ではどういったかたちで看取りが行われるのかを最低限でいいから理解していただけないと、結論は出てきません。

ですから期日を決めて、次回に続きを話し合うといった方法もよく取られます。

 

 

家族の意見を一本化していただくようお願いすることも忘れないでください。いったん決まった方針が、あとから登場してきた親族のひとことで宙に浮いてしまうことも、よくあるからです。

最初に話をするタイミングは、入所時でも、入所後でも、状態が悪化しつつあるときでもいいでしょう。ただ、状態が不安定であるなら、入所時がよいのはいうまでもありません。

目次

生をめぐる雑文

心療内科

働き方(労働衛生)

高齢者の終末期

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