看取りへの意思確認
(最期をめぐって 第6回)
- 高齢者の終末期
看取り対応をしている高齢者施設では、終末期を迎えた入所者に対して、日ごろ行っている行為があります。その手順を示します。
- 最期の“ありかた”への希望について、ご本人やご家族の意向を確認する。
- 施設での看取りを希望される場合、施設で看取りが行われるようになった時代背景をお伝えする。
- 施設内看取りの実情と、その意義について触れておく。
- 確認事項というかたちで、ターミナル・ケアの実際をお伝えし、さらに家族や社会の変化に触れる。具体的には、精神・身体機能の低下によってあらわれる現象、家族の多様性、社会環境の変化に基づいた、施設内看取りの実際についてお話しする。
- 老衰にみられる現象や変化は“急変”とせず、病院搬送はしない。一方、アクシデントによる状態の変化を急変とみるかみないかを伺い、病院搬送の是非を検討していただく。
- 了解が得られた場合は、ご本人もしくはご家族に記名捺印をいただく。
このなかで時間を割いて行うのは、老衰にみられる現象と、アクシデントによる状態の変化です。
たとえば前者には、反応性の低下、脈の微弱化、血圧低下、顔貌の変化、気道分泌物の増加などがあります。
後者の代表は、たとえば血液サラサラ系を呼ばれる薬剤を中止することで生ずる脳血管障害や心筋梗塞など血管が詰まる状態でしょう。想定外の天災による状態の変化もここに入ってきます。
アクシデントによる状態の変化を“老いに伴う変化”とするご家族は、基本的に病院搬送を望みません。反対に、“老いとは別の現象”といった考えを持つご家族は、病院搬送を希望されるようです。