新刊を手に思ったこと
(『いつもと違う高齢者をみたら』第3版)
- 生をめぐる雑文
『いつもと違う高齢者をみたら』(医歯薬出版)
の第3版が、まもなく発売となります。
版元の編集者Nさんが寒中、電車を乗り継いで、
出来立てほやほやの美しい一冊を届けてくれました。
高齢者の健康管理に対する日頃の留意点も、時間が経つと褪せるものです。
高齢者の “からだ”は少しも変わっていないのに、
生活を取り囲む環境が静かに変わっていくからです。
看護スタッフがいない施設にも介護度が高い人が入所するようになった、
高齢者施設では看護スタッフが慢性的に不足している、
コロナ流行のため救急搬送ができない、
救急車は呼べても搬送先の病院がみつからない、
搬送されても治療せず施設に戻って看取る方針が相応と搬送先の病院で告げられる……。
ひどいじゃないかと怒ってみたところで、結論は翻りません。
どの要素も現代ニッポンの諸事情から理由があって生まれた歪みだからです。
でも……外部環境の変化を嘆く前に、
自分たちでできることを見直してみようというのが本書の原点でした。
新版は内容を全面的にアップデートし、実践的コラムやQ&Aを増やしました。
しかしそれによってページ数が増してしまうのは感心しません。
厚くて重くなった書は、多忙な現場になじまないからです。
褪せた部分はバッサリそぎ落とし、フォントを微妙に抑えることで調整しました。
第2版とほぼ同じページ数に抑えた理由は、もうひとつありました。
価格への影響です。
価格が据え置かれるらしいことは、昨年の時点でほぼ決まっていました。
しかし原料高騰による諸物価値上がりのニュースが、毎日のように流れてきます。
出版業界も紙のほか、インクの値上がりもあると聞きます。
それでも旧版と同じ価格で市場に出ることになりました。
フレンドリーな手引書であるよう願った著者、編集サイド、営業サイドの総意です。
介護に追われて日々格闘している方々にとって、
本書が少しでも助けになることを祈ります。