心停止と呼吸停止
(救命現場から 第3回)
- 高齢者の終末期
心停止と、呼吸停止。亡くなるときは、どちらが先ですか? と訊かれることがあります。
フツーは呼吸、つまり肺が先で心臓があと。呼吸は止まっているが、心臓は動いているという状態が一般的です。腕や首で脈がわかったり、聴診器で心臓の音は聞こえるけれど、呼吸はしていないという状態といえます。
この状態で肺に酸素がうまく送り込まれれば、救命できる可能性があります。
一方、酸素が肺に送り込まれない場合は、そのうち血圧が落ち、心拍数も落ち、心臓はやがて動きを止めます。
当地湯河原の病院に搬送されて対応したCPA(心肺停止:Cardiopulmonary arrest)のほとんどは、救命できませんでした。
その点で、かつて都会で経験したときとは、事情がちがっていました。
理由は、どこにあるのでしょう。
首都圏と過疎地における医療事情のちがいでしょうか?
それは、あり得ます。
町の特性? それも、あり得るでしょう。
時代的背景? ……そうした事情も、あるように思います。