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浜辺の診療室から

前衛派と印象派の絵を見分けられる
トリのアタマ

  • 生をめぐる雑文

たとえばこんな話がある。

ハトたちにピカソとモネの絵を見せる。具体的には……

A群のハトたちにはピカソの絵を見せ、カゴの窓をつつくようになったらエサを与える。

B群のハトたちにはモネの絵を見せ、カゴの窓をつつくようになったらエサを与える。

すると2週間ほどで

A群のハトはピカソを、またB群のハトはモネを見分けるようになるらしい。

 

 

さあて話はここから。

ピカソの別の絵と、モネの別の絵をいくつか用意し、さらに

あれやこれや古典の絵を織り交ぜてハトに見せてみる。

すると……A群のハトは訓練で見たピカソの絵以外にも、

新たなピカソの絵に反応したという。

 

そればかりか、A群のハトは

マティスやブラックといった前衛派の絵にも

強い反応を示したらしい。

   

《ピカソ》         《マティス》      《ブラック》

 

B群も同じ。

新たなモネの絵を当てただけでなく、

セザンヌやルノアールといった印象派の絵に反応したとのこと。

   

《モネ》                                             《セザンヌ》                            《ルノアール》

 

ハトの脳は、絵の特徴をとらえて識別するだけでなく、

画風ごとの共通点と差まで識別してしまう――!!

慶應義塾の心理学者・渡辺茂さんの功績 (1995年) である。

 

 

 

むかしテストの点数が低かったり、

教えられたことがいつまでも覚えられなかったりしたとき、

「とりあたま ( 鳥頭 )」 と揶揄されたことがある。

最近まで知らなかったが、鳥頭とはトリアタマと呼び、ちゃんとした意味があるらしい。

辞書によれば「物忘れの激しいこと物覚えが悪くて記憶力の弱いこと」。

「三歩で忘れる鳥頭」といったことわざまであるとか。

 

どうしてどうして、トリのあたまってスゴイじゃないか !

とこの齢になって思う。

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